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『すっとぼけるなよ。小包の事だ。差出人は昭仁さんだから、男子寮に送ってきたのは君しかいない。まさか、君の名前が書いてないからといって、僕が分からないとでも思ったのかい?』
「別にぃ」
『どうせ食べ切れないから おすそ分け的な魂胆だろうが、それは余りにも僕がひもじい家の子だと言わんばかりの、ある意味屈辱にも等しく――』
「んで、嫌だったのか?」
『当たり前だ。余りにも僕を屈辱している』
「じゃ、こっちに送り返せ」
『ああ今すぐにでもそうしようと思っていた所だ』
「で、奈央子宛てに贈っておくわ」
『送り返すわけにはいかない』
「ん?」
『送り返すわけにはいかない』
「やっぱり欲しかったんだな?」
『そういう訳じゃ無い』
優は、再びヤレヤレと苦笑いをしたが、充がなにか言う前に
「じゃ、『俺からの』クリスマスプレゼントだ。」
しっかりと言い放った。
その声は、充の耳に深く刺さった。
充は黙っていた。
『・・・・』
「俺からのプレゼントだ。これでどうだ? 」
『・・・だから僕は別に、プレゼントが欲しい訳では――』
「来年からは、俺の名前で送ってやるよ」
優は淡々とした口調でそう言うと、通話を切った。
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