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シニスターの槍
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そして、すべての国民をその前に集めて、羊飼いが羊とやぎとを分けるように、彼らをより分け、羊を右に、やぎを左におくであろう。
そのとき、王は右にいる人々に言うであろう。
『私の父に祝福された人たちよ、……』
それから、左にいる人々にも言うであろう。
『のろわれた者どもよ、……』
─────────────【マタイ福音書第25章】
「さあ書きたまえ、私のミスターアイアランド」
右と左。東、西。
本来、方角方位に優劣の差などない。観測者がいて初めてその認識がかなうだけであって、この星はどこまでも地続きに丸い。
しかし、人の世ともなればそれはまったく歪になって、丸く平らかなものではなくなる。我々が足を着けて立つこの大地がそもそも平らではないのだ。仕方ない。
身分も財産も階級も、才能の一片ですら、我々は命運を左右に振り分けられる。
「厭だとごねたところで今さらだ。もう引き返せなかろう?」
右を向くか? 左を見るか?
すべてはその刹那に決まってしまう。
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