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紋章官という役職には三つの階級がある。
上の位から順にキング・オブ・アームズ。ヘラルド・オブ・アームズ。そしてパーシヴァント・オブ・アームズと続く。
各紋章官の呼称に付いているアームズ(arms)とは、ここイギリスにおいては紋章のことを指す。
諸外国では武器・武具の意味が一番にくる。しかし、紋章は盾や鎧に描かれたしるしに端を発するものなので、この国では武器よりも紋章の意味合いが先に来る。
紋章は正式にはコート・オブ・アームズ(coat of arms)と呼ばれる。これも鎧の上に纏うコートに紋章が描かれたことに由来している。
紋章という意味のarmsと腕という意味のarms。そのふたつを兼ねるものに腕章がある。所属団体を明示する為に用いられるそれは、さしずめ現代の紋章と言えるだろう。
紋章はともかく、紋章官というものを知っている人は日本ではあまりいない。しかしイギリスではとてもポピュラーな存在だ。けれど、いちいち階級ごとに呼び分けられることはなく、“ヘラルド(herald)”とひとくくりにされることが多い。
紋章官はもともと戦場において、伝令や交渉をはかる使者としての役割を担っていた。
ゆえにヘラルドという言葉には、伝令とか先触れ──つまるところ、今日でいうところの新聞や公報などの意味合いがある。新聞紙や出版社でヘラルドの言葉が使われていたりするのはこの為だ。
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