シニスターの槍

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 ああ。あそこに見えるのはいま話題の新作映画。面白そうなんだよな。 反対側に目を向けると、そこにはロングラン公演が決まったミュージカル。音楽が独創的で胸が踊る。 こっちに見かけるのは、もはや知らぬ者はないほどの有名な古典舞台。さすが本場は雰囲気が違う。いつかは観に行きたい。  ああ、どこに目を向けても舞台、舞台、舞台の洪水だ。  しょっちゅう舞台を観に行くなんて人は日本では一部の演劇ファンくらいなものだ。しかし、イギリス人は日常的に観劇に通う。舞台人気の規模が日本とは比べ物にならないことを改めて感じる。  その反面、イギリスのテレビ業界は日本のようなエンターテイメントが充実していない感がある。やってるのは教養ドキュメンタリーやガーデニング番組ばかりだし。だから余計に演劇熱が上がるのだろうか。  何はともあれ、舞台という装置は日常に非日常を与えてくれる魔法の場所だ。僕もご多分にもれずその魔法を求めていた。
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