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劇場の壁にはいたるところに公演の宣伝が貼られている。次の開演までにはだいぶ余裕があった。
小劇団ならではの斬新な作品か、いいな。
足を踏み入れると、こじんまりした印象の外観とはうってかわって中は案外広い。一階部分はバーが併設されていて、すでに結構な人数がそこにいた。飲みながら楽しむのがイギリスの演劇スタイルとは聞いていたけど……まるで日本のライヴハウスみたいだ。
客席は舞台を三方で囲み、そのまま二階席、三階席と高く伸びている。
木造ならではの温かみや、控えめに落とされた照明が余計に現代にいることを忘れさせる。まるでこの建物自体がひとつの舞台。ひとつの世界。
あんまり熱心に見つめていたので、どうやら劇場スタッフに気を遣わせてしまったらしい。
「開演までご自由に見学なさってください」
今日の僕は本当に運がいい。
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