後悔する選択

2/5
前へ
/5ページ
次へ
 僕の自宅の近くに、一つの森林地帯がある。周りは水田に囲まれているため、あまり人が寄り付く場所ではないが、僕は頻繁に足を運ぶ。今日もそうだ。 「本当に学校は辛いなあ……でもここに来れば――」  そう。ここは僕にとって安心できる唯一の場所。特にこの森林地帯の中心あたりにあるこの高木。ここに座りゆっくりするのが至福の時なのだ。学校では誰にも相手にされないし、一人暮らしだし。 「ここ……いい場所ね。何か気持ちが落ち着く」  そんな安心できる場所に誰かが侵入している。声を聞く限り女性だ。丁度木を挟んで反対側にいるみたいだ。 「えーと、まあ僕はお気に入りの場所です」  正直僕は女性が苦手だ。何と言ってもまともに会話もしたことがない。不慣れなんだ。兎に角追い払わないとせっかくの時間が台無しだ。態と素っ気ない態度をとろう。 「私、この場所好きになったわ」 「そうですか……それは良かったですね」 「あの、私もしかしてお邪魔? 何かテンション低くない?」 「いえそんな事は」
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加