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翌朝、ジュライは保健室で目を覚ました。
瞼を開けると、真っ先に保健室の天井が目に入る。
「夢…だったのか…?」
体を起こして辺りを見回すと、誰もいない。保健の先生もいないようだ。
壁の時計を見ると、7時5分をさしている。
そういえば昨日シャワーも浴びていないし、服も着替えていない、今日の授業の準備もまだだ。
本来なら昨日の出来事を考えるべきだが、頭はまだぼんやりしており、そこまで頭が回らない。
「いったん寮に帰らなきゃ…」
今日の授業は生徒同士の武器を使った対決で、校長のスワン・デネブが直接2年2組の生徒を指導していた。
グラウンドにあるやぐらに立つ、長い茶髪を後ろで束ねたテイルコートを羽織った男、スワンは校長だが、年齢はまだ34歳で、見た目は20代前半である。校長より新米教師の方が似合いそうだ。
しかしプロミネンスの中でも3本の指に入る戦士らしく、まだ24歳でこの学校を創立したことから、相当の実力者なのだろう。生徒からの信頼もそれなり。
腕を組み、やぐらから4列に並ぶ生徒を見下ろしながらスワンは言った。
「この授業はお互いに武器を交え、相手と己の武器の特性を知ることで、実戦での武器の扱いを高めることが目的だ。事前に封印術で、武器の殺傷力は封じてあるが、真剣勝負だと思って闘え! ルールはまず10秒ごとに学校の敷地内に、とはいっても校舎の中や寮は駄目だぞ、バラバラに隠れ開始の合図とともにに行動を初める。そして出会った者同士が一対一で闘う。敗れたものはここに戻ること、もし戦闘中の組と出くわしてもその組の決着がつくまで待つこと、助け合いもナシだ!」
「はい!」
凛とした、スワンの声に生徒達も大きな声で応える。
学校自体は高いレンガの塀に囲まれているが、この学校の敷地内は広い。
木が生い茂った森みたいなところもあれば、池もあり、丘もあり、薔薇園まである。まるで森林公園のようだ。
ジュライは森で今、ひとりのクラスメイト、カットラスを愛用する高い実力を持つ男子生徒と交戦していた。
お互いに刃を交え、キンッ、キンッとぶつかる音が響く。しかし相手の息は荒い。
「くらえっ!」
ジュライは隙をつき、クラスメイトの肩に剣を降り下ろした。
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