第二話 悪魔アスモデウス

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「お…俺の…負けだ…」 クラスメイトはそう言い倒れる。 殺傷力を封印された武器は、モンスター以外の存在を殺すことができなくなる。しかしその武器の攻撃を受け続けた場合、疲労が蓄積され、やがて動けなくなる。 負けたクラスメイトはフラフラになりながら、グラウンドに引き返していった。 ジュライは彼以外にも、既に3人クラスメイトを倒していた。 「(モルガナは、まだ闘ってるだろうか?)」 ジュライはモルガナが気になった。彼女はスワン・デネブの姉の娘、つまり姪っ子で、魔女のはしくれとはいえ、塔の守護を任されるほどの実力はある。闘うことになれば強敵になるのは、間違えない。 「(それに…)」 サリアのことも気になった。結局昨日の出来事は何だったのだろうか? 今朝、教室にいた彼女に聞こうとしたが、ここぞというところで、聞く勇気が出なかった。 そのとき、何か聞こえた。女性の悲鳴だった。 「モルガナの…悲鳴だ!」 ジュライは悲鳴が聞こえた方に、慌て走り出した。 驚愕の光景だった。 「モルガナ!?」 モルガナがボロボロで、横向きに倒れていた。そばにサリアが弓を持って立っており、モルガナの周りには矢が散乱している。 サリアが弓を、駆けつけたジュライにむける。彼女は無表情だが、目から殺気を感じる。 「次はキミかい? 昨日の青いの」 「(間違えない、コイツがモルガナをヤったんだ!)」 ジュライは剣を構え直した。 「お前、本当に何モンだよ!」 別にモルガナを倒された恨みはない、ジュライはただサリアの正体が知りたかった。 「キミには昨日、結構助けられたから教えてもいいかな? どーせ言っても信じてもらえないし」 サリアはそう言うと目を細め、少し間をおいて再び言った。 「天使だよ、熾天使と言ったほうがいいか」 ジュライは彼女の返答に混乱した。 「嘘だろ? だって天使は物語に出てくる…」 目の前にいるクラスメイトが天使? 信じられない話しである。 ジュライはあまり、信仰心がない。祈るときといえば、困ったときの神頼みくらいだ。だから尚更だった。 そのとき、終了のベルが響いた。 後ろから聞こえたベルの音に気をとられ、ジュライはサリアから目を離した。 目線を戻したときには、既にサリアは消えていた。
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