第三話 塔を守る為に

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6体のドーベルマンのような化け物が、いっせいに三人に襲いかかる。 サリアは前に出て、迷わずドーベルマンに数発の弓矢を放つ。放たれた矢は全てドーベルマンに突き刺さり、ドーベルマンは矢が刺さった部分から紫色の粒子を撒き散らし、悶絶するが再び襲いかかる。 「なかなかしぶといヤツらだな、操っている本人を叩いたほうが早いか」 サリアが再び弓を構えながら言った。 「どうやって倒すんだ?」 ジュライも剣で、噛みついてくるドーベルマンの牙を防ぎながらサリアに聞く。 「私がドーベルマンもどきの相手をするから、キミたち二人がいっせいにあの男、アスモデウスを叩け。アイツはしもべの制御で、けっこう力を消耗している筈だ」 「あの変質者、アスモデウスっつーのか。よくわからないが、やってみるぜ!」 「ええ!」 ジュライとモルガナは、アスモデウスの元に走り出す。 ドーベルマンが行かせまいと言わんばかりに、さらに激しくジュライとモルガナに襲いかかるが、サリアがすかさず矢を放ち、ドーベルマンを射抜く。サリアのアシストを受けながらドーベルマンの猛攻を潜り抜け、アスモデウスに飛び掛かる。 「おっと、アブナイ」 アスモデウスが戦斧で応戦してくる。ジュライが振り下ろした剣も、モルガナが放った衝撃波も、全て斧で受けとめられた。 しかし、ジュライもモルガナも、サリアの言うとおりアスモデウスがかなり消耗していることを確信した。アスモデウスは、余裕そうな立ち振舞いを続けてはいるが、明らかに動きが鈍っていたからだ。 「モルガナ、いくぞ!」 「うん!」 ジュライが再び、アスモデウスに飛び掛かる。 「おらぁっ!」 「ふんっ!」 アスモデウスも斧で剣を受けとめ、そのまま刃と刃の押し合いになった。 その間にモルガナは、アスモデウスの背後に回り込む。そして、杖を大きく振りかざした。 その瞬間を待っていたジュライは剣をの刃をフッと斧から離し、さっと後ろに跳ぶように下がる。 「なっ!?」 アスモデウスは体勢を崩し、自身の背後の何かを察し、体勢を崩したまま後ろを振り向く。 モルガナが放った、巨大な緑色の球状の発光体が迫っていた。 「うわぁっ!?」 アスモデウスは、転がるように発光体を避けるも、これがジュライ跳ぶモルガナの狙いだった。 「はあっ!」 ジュライはすかさず、起き上がろうとしたアスモデウスを斬りつけた。
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