第三話 塔を守る為に

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「すまない、モルガナ、ジュライ! 私は数年前から塔に、天使と悪魔が侵攻してくることを予期していた。だからオリオン部隊という戦士の部隊を編制し、塔を守らせていたんだ。それだけではない、部隊はまだ人員が整っていない、天使と悪魔に対抗できるほどの力のある戦士がまだ少ないんだ。だから部隊が休憩しているときの万が一を考えて、高い戦闘能力の持つ生徒に塔を見張らせていた。まさかここまで早く、攻撃を仕掛けてくるとは思わなくてな…。巻き込んでしまってすまない!」 こんなスワンを見るのは初めてだった。 「顔を上げてください、デネブ校長。オレは何も怒ってません」 「そうよ、叔父様。らしくありません」 ジュライとモルガナはスワンを許した。 いや、確かに下手したらジュライとモルガナは命を落としたかもしれないし、重大なことを黙っていたのはとんでもないことだが、スワンにはスワンなり話せない状況だったこと、葛藤もあったことはすぐに理解できたし、仮に話したとしても、天使と悪魔の存在など、そのときのジュライとモルガナは信じなかっただろう。二人はそのことを十分理解していたからこそ、怒れなかったのだ。 そのかわりジュライは、スワンに説明を求めた。せめて自分達が、今置かれている状況をはっきり知りたかった。 「そのかわり、全て話してくれませんか? オレたちが置かれている状況を」 「ああ、そうだ。私が知っていることは、全て話す」 スワンが語りだしたのは、ジュライ達の常識を打ち破る内容だった。 「遥か昔、天使と悪魔は人間と交流があった。そして天使と悪魔は争っており、その戦いに人間達が巻き込まれた。やがて天使と悪魔はどういうわけか地上を去り、天使と悪魔の存在は神話の中の存在となった。しかしそれは神話の世界ではない、実際に起きた出来事なんだ。天使と悪魔はいまだに争っている。そしていま、また人間はその争いに、捲き込まれようとしている。信じられない話しだか、本当なんだ」 確かに信じられない話だ、しかし今は違う、ジュライは、真剣に話しを聞いていた。 「何故です? デネブ校長」 「何故かって? 天使と悪魔が去る少し前、人間達は再び争いに捲き込まれないように、魔法と錬金術で魔力を固めた、身に付ければ強大な力を得ることができる宝物を作り、そのときまで悪用されない為に、ある塔の最上階に封印した」
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