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そしてスワンは窓から見える、夜明けの塔に目をやった。
「その塔が夜明けの塔だ。天使も悪魔も相手に勝利する力を求め、その宝物を狙って再び地上に侵攻している。先ほどお前達が戦ったアスモデウスも、宝物を狙う悪魔の一人、そして、ジュライが言ってい昨日の女は、宝物を狙う天使だ」
「だから、あのアスモデウスは塔に入ろうと…、白い女性にいたっては既に塔に…」
ジュライは改めて、あの女性とアスモデウスにゾッとした。
今度はモルガナが質問しだした。
「ほうもつって? そもそも天使と悪魔は何処から来るの?」
「どんなものかは私もわからない。宝物が塔の最上階に封印されて以降、見た人はいないと聞く。人間も宝物によほどの危機が訪れないかぎり、最上階の封印の間に近づくことは許されていない。この世界は3つ存在する。私達が暮らす人間界、つまり地上、天使達が暮らす天界、悪魔達が暮らす魔界、この3つに分かれている。奴らは何らかの方法で、地上に攻めてくる」
「叔父様以外にも、このことを知っている人はいるの?」
「フレアの市長と、プロミネンスを含めた各国の王族の一部と、一部の政府関係者、それと塔を守るオリオン部隊の戦士達だ」
ジュライは気づかされた、オリオン部隊は暇ではなかった、彼らは戦っていなくとも、この重大な任務を心に刻み、いつ攻めてくるかわからない敵に日々備えていたのだ。
そしてジュライは今までの話を聞いて、一番納得いかなかったことを質問した。
「なんでオレたち人間が、その戦いに捲き込まれるんですか? 完全にとばっちりじゃないですか!」
次に答えたのはサリアだった。
「天使として私が言えることは、天使も悪魔も人間のことを虫けらとしか思っていないからだと思う。あいつらは人間なんてどうなろうと関係ない、どうでもいいんだ」
「そんな!」
「天使たちは宝物を奪うためだけに、地上に攻撃を仕掛けることにした。これはもう天使の上層部が決定したことだ。だが私はそのことに納得できなかった、キミの言うとおり、人間たちはとばっちりをくらう、人間たちは何もしていないのに、だ。だから私は地上に降り、政府に掛け合い、人間とともに戦う道を選んだ。この熾天使の弓で」
サリアはジュライとモルガナに弓を見せた、その目は真剣そのものだった。
「サリア…」
「サリアちゃん…」
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