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久しぶりに自動ドアをくぐると、息苦しく感じた。
人の目が気になって仕方がない。
【ピンポーン】
そう鳴る入り口ですら怯えている自分がいた。
とにかくすぐに食べられそうなものを物色した。
昼時には一杯になるコンビニ。近くに専門学校があるからだ。
それを避けて、早めに来たおかげでスーツ姿の男や、いかにもママっぽい女、手を引かれた子供。
後は年配の女の店員と、若い男の店員しかいない。
それでも、私には喉が渇くほど怖い存在だった。
『コクリ』
自分の飲み込んだ音すら胸が苦しくなる感覚に襲われる。
世の中は動いているのだ。
私だけ数週間前と変わらない。
デリのコーナーで足を止めて、分厚いカツサンドを選んだ。
私はこれが好きだった。
紙パックの野菜ジュース。
これも定番の緑のジュースだ。
ヨーグルトも買った。
クリーミーで酸っぱくない高校のころから大好きなもの。
8枚きりの食パン。卵。ウインナー。
サラダのパック。1リットルの紙パックのオレンジジュース。
次々に籠にほおりこんで入った。
私の目はどこかキョロキョロとしていたであろう。
俯き加減でレジにコトッと音を立てて籠を置くと、男の店員が「いらっしゃいませー」と呟くように言って、バーコードを読み込み始める。
ふと思い立って、私は言葉を発した。
「あの、払い込みもお願いします」
何日ぶりに言葉を発したろうか?
まだ、声が出たのだと自分に驚いた。
「はい!ありがとうございます!」
店員の元気な声を聞きながら、カウントされる音を聞いてなんだかほっとしたのだ。
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