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「じゃあね、のんちゃん!」
「ばいばい!」
――あれから1週間。
予想通り、藤野光里の話題が出てくることはなく。
再び心を落ち着かせられるようになった頃の、放課後。
「うん、2人とも部活頑張ってね!ばいばい」
授業が終わり、
小夏は吹奏楽部へ。
桜ちゃんはバトミントン部へ。
ばたばたと教室を出て行く2人を私は教室の中から笑顔で見送る。
「…………ふぅ」
ほとんどの生徒が教室から出払って、廊下とは対照的に静かになった教室。
私は何にも部活に所属していない。
つまり、帰宅部。
廊下と壁一枚を隔てて、まるで別世界にいるみたいに喧騒が遠くに聞こえる放課後の教室での時間が、私の毎日の密かな楽しみだったりする。
「……………ふぅ」
席に座ったまま、ため息をもう一つ。
普段ほとんどいっしょにいる2人は2人とも部活熱心だから、放課後はこうして割とすぐに静かな時間が訪れる。
私が部活に所属してないのには、特に理由はない。
中学のときやっていたバレーも、元々高校で続けようとは思っていなかった。
かといって他にやりたいことがあるわけでもなく。
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