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「…………帰ろう」
ひとり呟くと、スクールバックを肩にかけた。
基本的に、私の放課後は教室で自習か、近くの図書館で自習かのどちらかだ。
……みんなは私のことを頭いい頭いいって言ってくれるけれど。
みんなが部活に費やしている時間を私は勉強に費やしているんだ、人よりそれなりにテストの点が良くないとむしろおかしい。
学校を出て、真っ直ぐ歩くとしばらくして見えてくる市立図書館。
いつもは足を向けるその場所だけれど、今日は足を止めることなく通り過ぎる。
今日は、月に一度の休館日。
残念ながら開いていない。
そのまましばらく歩くと、いつも通学で使っている駅が正面に見えてくる。
……なんだか今日は人が多いな。
そう思いながら人にぶつからないようにして駅の中へ入ると、
「ほんと、厳しいよねうちの学校」
「ね。精神的にくるよね……」
「いきなりあの量の課題はないわ~」
同じセーラー服を着た女の子たちが柱の近くで佇んでお喋りをしていた。
多分、先週うちの高校入学してきたばかりの新入生だろう。
……うんうん、分かる分かる。
私も去年の今の時期は課題に追われて大変だったなぁ、
なんて女の子たちの会話を聞きながら
にやけてしまう。
そうか、妙に人が多いと思ったら、この時間帯はまだ部活に入っていない新入生の下校時刻と被っているのか。
密かに新入生たちの初々しい顔を見ながら改札口の方へ向かっていく。
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