melody1

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「のんちゃーん?何ぼけっとしてるの」 「あははは、のんちゃんって割としょっちゅうぼけっとしてるよね」 考え事をしているうちに、いつの間にか自分の世界に入り込んでしまっていたらしい。 私はよくぼーっとしている。 それは否定できない事実。 「あれ、ごめんごめん。また、つい」 あは、と笑ってみるけれど、そんなことを考えている私は確実に “ふわふわ系女子” ではないはず。 「んでさ、のんちゃん。私昨日すごいこと発見しちゃった~」 「え?何?どうかした?」 私の方に向かってにやりと笑って身を乗り出した桜ちゃんに、思わず身構えてしまう。 私と桜ちゃんはまだ今年初めて同じクラスになったばかり。 今こうしてよく話しているのも、桜ちゃんと小夏が仲良しで、小夏と私が中学時代からの友達だから。 だから、私の方はまだ完全に自然体で話せるわけではない。 ……自然体で話しているように見せることは得意だけれど。 「いやー、びっくりしちゃったよ、のんちゃん」 「え、え、何?なんか怖いなぁ」 「昨日さぁ、3人で光里について話してたじゃん?」 「あ。う、うん」 光里、その名前を聞いて思わず顔が引きつったのを感じた。 光里というのは、 藤野光里(フジノヒカリ)。 私と2年連続のクラスメイトのこと。 彼女の話、それは彼女はピアノを物凄く上手に弾く人だ、という話だった。 去年の合唱コンクールで私のクラスでは彼女が伴奏を務め、その上手さで一時期校内を騒がせた。 昨日していたその話を、今桜ちゃんがぶり返そうとしている。 ……彼女の話をするのはちょっと気が引けるから、なるべく避けたいんだけど……
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