melody1

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再度藤野光里の方へちらっと目をやると、彼女はさっきと同じように読書に熱中していた。 ……独特の雰囲気、か。 …………どこがだろう。 そう思ってじーっと見つめてみる、 ……けど、やっぱり分からない。 至って普通だ。 なんかごめん、と心の中で彼女に謝る。 ……そういえば。 彼女とは去年から同じクラスだったけれど、こうしてじっと見つめたことはなかったかもしれない。 目があってしまうのが怖くて、無意識に視線を向けないようにしていたのかも。 この2年間で彼女と話したのは、本当に数えるほどだけ。 それも義務的な用事でだけだ。 「でね、そしたらあいつ、いきなり追いかけてきてごめんって言ったの」 「きゃー!やだ、小夏愛されてるー!」 「ほんと、調子いいんだから」 「でもかっこいいじゃーんっ」 「……まぁね」 きゃーーー!という桜ちゃんのかん高い叫び声が耳に響いて、思わず顔をしかめてしまう。 再び2人の会話に耳を傾けると、話題はいつの間にか小夏の彼氏の話へと変わっていた。 「ね、のんちゃんもそう思うよね!」 桜ちゃんがこちらに笑顔を見せてきたから、私もすぐさま笑顔になって頷き返す。 「ほんと、小夏羨ましい~」 「いいよねぇ~、こいつめっ」 「やだ、桜ちゃんも彼氏いるくせに!」 きゃはは、と今度は私も2人の輪に入って笑いあう。
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