一杯の水・ライジング

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 銀色に輝く乱暴なうねり。  ナイフか。  料理では使うはずのない、喫茶店で出すはずもない分厚くて長い奴が複数。  細長いものは、ドライバーか?  どっちにしろ、物騒なやつが多いな。  ジェットの噴射、その目もくらむ速さから放たれた武志の掌が、サバイバルナイフや名が太いドライバーを次々を叩き落とした。 「ギャー! 」  一瞬甲高い音を上げて、凶器は折れて飛び散る。  持ち主は持っていた手をおさえて、もんどりうって倒れた。  骨は折れたかもしれないが、我慢しろ。  武志は無力化した暴徒を警官に渡すと、店に飛び込んだ。 「店長! 朝子さん! どこですか!? 」  一方ドラゴンメイドは。 「ねえ、エンジン切ってくんない? いつまでも下ろせないじゃない」  「ははっ! 直ちに! 」  だんだん遅くなるタイヤ。  だが達海はそれが待ちきれないらしく、強引に地面に押し付け、止めた。  タイヤがどうなっても、知らないぞ。  当然知らないらしく、バイクを停車させると、武志を追った。 「タケくーん! 」  俺は手で握っていた水のロープを引いた。 「モルガン! ヴィヴィアンは君が使いな」  水のロープからの指示を受け、氷の船がやって来た。 「分かりました」  あいつの目は、暴徒達をまっすぐ見据えていた。  その横顔は、ものすごくハンサムだ。  船の中から薔薇の蔦が伸び、花は4本足のモンスターになる。 「行くぞ! 」  船底についた水の層を、ぐるぐると回転させることで、路上を走らせる。  水のキャタピラだ。  3人で殴り合ってる所へ向かわせ、ぶつかる直前で水の層を跳ね上げる。  船は上下が逆転し、3人を飲み込んだ。  そのまま警官が多く居るところまで滑らせていき、船を再び跳ね上げた。  あたりを警官に囲まれた客は、あっという間につかまり、ようやくおとなしくなった。  さあ、次を捕獲だ!
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