一杯の水・ライジング

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「ああ、水おいしそう。もらうね」  そう言って重要物の入ったコップに手を伸ばした。  そこに入ってるのは、一杯の水。  それを事もあろうに、つかみあげた! 「あー! せっかく集中してたのに! 」  武志はぎょっとして手を止めた。 「ど、どうしたんだ。いったい? 」  このうかつ者に俺は、怒りをしばしおさえて説明してやることにした。  オレはコップの中に右手を入れた。  そして、水を上にはね上げる。  水は武志の顔にかかるわけではなく、ゴムのように空中で弧を描いて飛んだ。  そしてすべての水は、俺の掌にボヨボヨした塊となってまとまった。 「俺の細胞を極限まで濃くして混ぜてあるんだ。飲むとおなか壊すぞ」  俺は水を操る異能力者なんだ。  俺の細胞は水を取り込むとアメーバのように変化し、動かしたい方向へ細胞をどこまでものばしていける。  自分で触れている間は自在に動かせるけど、体から離れても10秒程度なら決められた動きをさせることもできる。  後、細胞から鞭毛をのばせば空中の熱を出し入れすることで、蒸発させたり氷にすることもできるぞ。 「今年の自由研究は、コップ一杯の水をどうやって有効利用するかにした―」
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