1人が本棚に入れています
本棚に追加
この説明は、突然上がった客の叫びによって断ち切られた。
「あっ! すげー! 異能力者だ! 」
その叫びを聞くと、他の人たちも立ち上がった。
「えっ? どこ!? 」
「あ! あそこ!! 」
たちまち、お客が立ち上がり、俺のまわりに人だかりができた。
お、おれはとりあえず、水を紐状にして、ぐるぐるまわしてみる。
「おお~」
ウケてるウケてる。
感嘆の声が重なり、カメラが次々に向けられた。
「ちょっと! 写真を撮るなら許可を取ってからにしなさいよ! 」
人だかりの向こうから声がした。
それに対する答えは。
「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」「写真、撮っていいですか? 」
とてつもない、うるささだ。
「いいですよ」
スマホよりも本格的なカメラが多いな……。
「エクスティンクションだ! あんたエクスティンクションだろ!? 」
客の男に気付かれた。
「ええ、そうですけど」
どうやら、異能力者オタクがいたらしい。
「エクスティンクションさんて、何をしてるんですか? 」
他の客から、よくある質問。
「火事の時の消火。主に人命救助のお手伝いです」
エクスティンクションは英語での消火でしょ。とは言わなかった。
思ったより、突っかからず話せたな。
俺は本来、じろじろ見られるのが苦手なんだ。
あの何もかも見透かしてやろうという視線で見つめられると、親でもないのになんでそんなことするんだ! という怒りがわいてくる……。
が、思ったより視線が少ないな。
「……何してるんですか? 」
人だかりの何人かは、俺ではなくスマホを見ている。
最初のコメントを投稿しよう!