一杯の水・ライジング

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 さっき俺の前でWIKIを見ていた人。 「レイドリフト・ワイバーン! あなたがやってる事はいけないことよ!  異世界で戦って自分の政策を押し付けるのは侵略というのよ! 」  すると、にやにや男が厳しい顔で突っかかっていった。 「なんだと! 彼のやっていることは、相手世界も承知している正当な行為だ!  我が世界には異世界に関わる資格がないって言うのか!? 」  うわあ、面倒くさい。 「武志! 飛べ! 」  ああ、何が悲しくて男同士で手をつないで走らなきゃならないんだ。 「え? でも、どこへ? 」 「どこでもいい! お前だってこのままじゃ、もみくちゃにされるぞ! 」  後からは諦めないオタクたちが、俺たちを追いかける。 「……わかったよ」  武志はそう言うと、俺に追いついて背中側から脇の下に手を通し、抱きかかえる格好になった。 カシャカシャン  武志の背中から短い機械音。  あいつの背中に仕込まれたジェットパックが、背骨に沿ったレールに導かれ、首の後ろから飛び出した音だ。  ジェットパックからは左右に金属製の羽が伸び、ついにジェットエンジンが火を噴いた。  武志に抱えられた俺はこれで悠々空の旅へ―。 どすっ  ぐふっ!  腹に重くて硬い物がめり込んだ!  両手で持っていた俺のカバンが、急激な加速で風にあおられた。 「あ! 痛かった!? 下そうか? 」  心配する武志の声。 「いや、おろさないでくれ。そうだ。鍵山ダムに行ってくれないか? そこで自由研究の実験がしたい」  本当は喫茶店で、計画をまとめてからにしたかったんだけどね。  鍵山ダムは、この街の山奥にある水道用ダムだ。  その下には水道水のための浄水場がある。
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