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放課後。閑散とした教室には、俺と彼女だけがいた。
「……で、その推理は正しいの?」
彼女は笑みを浮かべ、そう訊いてくる。俺は今まで、昨日校内で起きた殺人事件の推理を披露していた。
「いやね、君の推理は完璧だと思うよ。……でもね、その推理だと、私が犯人になっちゃうんだけどな~?」
彼女はまるで試すように、首をかしげる。俺は少しの間を置いて、答えた。
「そうだよ。俺の推理の終着点――犯人は、お前だ」
「…………ぷっ、あははははっ!」
彼女は唐突に笑いだした。大きな声で、馬鹿みたいに。
それはしばらく続いて――やがて治まった。その顔には、さっきと変わらない笑みが浮かんでいる。
「……そうだよ。私が犯人。よくわかったね」
そう言って、彼女は振り返った。その先にあるのは、窓から見える綺麗な夕景だ。
「……ありがとね」
彼女は最後に、呟くように、そう言った。
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