1人が本棚に入れています
本棚に追加
「――――……またか」
真っ赤に汚れた手や刀をみて少女は笑った。
少女は刀を拭いて廃墟を後にする。夜のネオンは少女にはいささか眩しかった
他人とつるまない彼女は何処にも属さない。
ただ、一人。
あの人以外には――……
少女の名は鈴音と言った
少女は豪邸の自宅にあがりただいまを告げる。
4年間幽閉された家以外には帰る場所が無かった。
彼女の師匠は数年前、政府に連れ去られた。
崩れ行く日本。
それを近くから見る少女の目には光が無かった。
月明かりが少女の刀を照らす。刀はあちこちはこぼれをしている。
「――……」
キィィィン……
耳鳴りがして少女の目は真っ赤に揺れた。
「……魂を創る」
刀のはこぼれは無くなる
少女には全てを意のままにする力があった。
だからこそ、少女には夢があった。
人並みに成りたい
今日、少女は家を出る。
最初のコメントを投稿しよう!