母へ。

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拝啓、お母さん。 手紙の正しい書き出しなど私は詳しく知らないので、あまり拘らず私なりの言葉で綴ります。 ありがとう。 きっとこの手紙はあなたが永い眠りについて、物言わぬ骨音になってしまうまで――――否、あなたが細く頼りない煙になってしまっても、貴方に届くことはないでしょう。 私は今も昔も、きっとこれからも後悔しつづけます。 貴方が産み育てた【私】という存在を。 しかし私は思うのです。 それでも生まれて良かったと。 貴方の子でよかったと。 貴方に、「母親になってよかった」と思ってほしい、と。 この思いは届くことはないでしょう。 親の心、子知らず。 同じようにきっと。 母。愛していますよ。 くどいですが、今も昔も、ずっと、それは変わっていません。
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