高等学校

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心を開放できる友人が私に居れば、もっと状況は変わったのでしょう。 けれど、相変わらず私には特定の友人がいませんでした。 万引きから解放された安堵と、万引きというストレスの捌け口がなくなった息苦しさ。 傷つけた左手を湯船に付けて、じわじわと痛みを広げる赤い跡をぼんやりと眺めるようになりました。 夜はますます眠れなくなり、食欲も増し、劇的に太りました。 流石におかしかったのでしょう。 貴方も、父も、私の手に気づきました。 貴方は私が刃物を持つことをひどく恐れるようになりました。 怒っても泣くだけで何も言わない。 怒らずゆっくり理由を問うても泣くだけで答えない。 何を言っても言い訳にしかならなかった幼少期が、こんな所で性格となるとは、私にも驚きでした。 お互いに、ストレスを溜めこむ毎日。 振り切れたのは、私が大学生になってしばらくしてからです。
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