母へ

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お母さん。 おつかれさまです。 職場ではよく口にする言葉ですが、貴方は誰かに言われることもなかったのではないでしょうか。 思い返せば私の思いでは大半お母さんで埋め尽くされており、いいことも悪いことも、殆どを一緒に乗り越えてきたように思います。 あと十年、一緒に誕生日を迎えられたら奇跡でしょう。 あと五年、一緒に誕生日を祝えたら嬉しいです。 この12月には初ボーナスが入るのですが、何かしたいことはありますか? 何かできそうなことで構いません。 何か欲しいものでも構いません。 なにか、わたしにできることはありませんか? 貴方は何かを欲しがることが苦手です。 私が泣き続けたせいでしょう。貴女の期待を裏切っては、怒られて、泣いてばかりいたからだと思います。 貴方は私たちに何かを求めなくなりました。幸せになってくれたらそれでいいなんて言って。 彼でもいれば紹介もできましたが、あいにく私には今、浮ついた話が一つとしてありません。 孫の元気な顔を見せられるお姉ちゃんが、時々羨ましく感じます。 私はそう、貴方にそんな姿も見せられないかもしれないけれど がっかりしないでくださいね。
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