幼少期

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思い返せばもう20年以上も前の話です。 私の記憶に残る思い出はあまりありませんが、その頃を遺した写真が多くあり、見返すたびに私は思います。 貴方も父も、とても若い。 貴方はパッチリ二重。 私もその頃は、貴方によく似た二重だったようです。 アーモンド形の目が線のように細く狭められ、口元にはえくぼ。 今ではほとんど見る影もありません。成長とは不思議な現象です。 貴方は私に沢山の洋服を与えました。 そうです。貴女が貴方のミシンと糸で縫い上げた、お手製のわんぴーすです。 私はその規則的に刻まれるミシンの音を覚えています。 その音を子守唄に、硬い絨毯の上で人形を片手に。
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