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「可能です。この携帯電話がそれです」
俺はすかさずスーツの内ポケットから携帯電話を取り出してテーブルに滑らせる。
「このラグというのは寧ろこのメーリングシステムのメリットなのです。つまり、やろうと思えばですが、今年の宝くじの当選番号を平行世界の過去へと送信し、あちらのあなたが当たりくじを買う。
すると、その事実に引っ張られてこちらの時間軸でも改変が起こり、気付いた時にはあなたが億万長者になった未来に現実が再構築されていると、こういった按配なのです」
「本当かいな」
男は懐疑的な視線を送る。俺はせいぜい余裕たっぷりに笑ってみせた。
思わせぶりに身に付けていた腕時計や指輪を見せつける。
「信じるか信じないかは自由ですが、なぜ働き盛りの年齢の私がこうやって真っ昼間から酒を飲み、ブランド物の装飾類を付けていられる身分なのを考えてみて下さい」
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