『500年前の俺よ!ありがとう!』

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俺は目を覚まして驚いた。周りは、俺と同じ人間ばかりか、イカやタコみたいな奴ら、犬や猫みたいな奴ら、魚やトカゲみたいな奴らがうようよしているんだから。まるでスターウォ〇ズの世界そっくりなんだ。 だが、本当に驚くことはそのことじゃない。 それは、俺が、お前の時代より、むしろ、500年後の時代の方が向いていたってことだ。どういうことかというとだな・・・。 俺は食うために引っ越し会社に就職した。引っ越しといっても惑星間の引っ越しをするんだ。なんせ宇宙時代だから、皆、惑星レベルで引っ越しをする。肉体的にきつい仕事だが、給料がよかった。 もちろん、相変わらずドジが多くて、妖怪百目みたいな上司にいつもどなられっぱなしでへこんでいたが、ある日、俺の乗った引っ越し船が宇宙海賊に拿捕された。 他の従業員は宇宙空間に放り出されたが、俺はひょんなことで海賊の船長に気に入られた。ある時、俺が船の柱に頭をぶつけたのを見て、何故かそれを彼らはエラく勇敢な態度と受け取ったのだ。宇宙は広いから、価値観は多様なんだ。 それから俺は海賊の仲間になった。いろんな銀河を巡って冒険した。俺のおっちょこちょいは地球ではただのドジだが、宇宙では思いがけない知略となり、皆の信頼を勝ち取った。 船長が死ぬと皆に乞われて俺が新しい船長になった。美しき女海賊クイーン・ベルベットとは恋仲だ。地球では考えられない人生を俺は今送っているんだ。 それもこれも、皆、お前が『日本一』でコケてくれたからだ。そのお礼をいいたくなったのと、落ち込んでいた俺を励ましてやりたくなってメールをしたまでだ。 俺よ、ありがとう。そして、決して未来を悲観するな。お前の未来は、お前の時代の誰よりも輝いて刺激的な物になるんだからな!
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