第2章

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「…送信、終了」 私はくすりと笑いながら、パソコンの画面を眺めた。 ちょっとしたお遊び。 今から70年前、結婚式の直前に届いたメールは、あれは現在の私が打ったもの。 でも、消えてしまった謎は解けなかった。 パソコンの隣には、いくつものフォトフレーム。 二人で撮ったものもあれば、家族写真もある。 どの写真にも、必ず笑顔の私と暁さんがいる。 「健やかなる時も、病める時も。  死が二人を分かつまで…ね」 暁さんがこの世を去って、1ヶ月余り。 あともう少しで結婚70周年だね、って言ってたのに。 私は思い出していた。 あの挙式前のメールの事を。 文面は、うろ覚えだったから思い出したというより、今の私のそのままの気持ち。
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