無死しないでください

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「……君の姿が見えるなんて、私、頭おかしくなっちゃったのかな」  響子は目元を拭い、ようやく僕を見た。 「君は事故で亡くなった。ここにいてはいけないの」  響子は悲しそうにつぶやいた。  そうか。僕、車に轢かれたんだっけ。  最期に見たのは号泣する響子。  思い出した。僕が響子の前に現れたのは君を笑顔にしたかったからだ。 「君はもうここにはいない。ちゃんと成仏してください。ちゃんと――」  響子は笑った。 「死んでください」  心が、すっと軽くなる。  心地よい微睡みの中、僕の意識は薄れていった。
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