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ふんわりとした感触。
優しくて、とてもあたたかい。
俺はその唇が欲しい。
額じゃなくて、ここに。
気がつくと青年の後頭部に手をかけ、自分の方へ引き寄せていた。
「頂戴。キス」
涙で霞む目は、微かに顔をしかめる青年をしっかり捉えている。
しかし青年は、人差し指でそっと制した。
「そういうのはね、本当に好きな人としなきゃ駄目ですよ」
柔らかく放たれた言葉は何故だか少し棘を纏っていて、胸のあたりがチクリと痛んだ。
「…そうだな。ごめんな」
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