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゛はあ…゛
妙に乱れる呼吸を必死に制し、青年の後を追いかけた。
帰宅時刻で人がごった返している。
何故か必死な俺は人ごみをかき分けて進み、ようやく至近距離まで近づくと、後ろからぎゅっと腕を掴んだ。
「うわっ!!!」
青年は驚いた様子で声をあげ、振り返る。
「すみません…!
ちょっと良いですか……!
怪しいものじゃないので……!」
突然他人の腕を掴むなんて怪しいに決まっているだろうが、そんなことはもはやどうでも良かった。
さっき嗅いだ香りより明らかに濃度が高い。
眩暈がしそうだ。
戸惑う青年の返答を聞く余地もなく半ば強引に腕を引き、ひと気の無い裏路地へ連れ込んだ。
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