第4話 探る

4/6
144人が本棚に入れています
本棚に追加
/51ページ
芸術家と言うものはそんなに気難しいものなんだろうか。 ともかく、この調子では住所なんて聞けるはずもない。 玉城はオーナーのしたたかな笑みを見ながらそう思った。 結局、男性であることと、かなりの変わり者でありことしか分からなかった。 足取りも重く画廊を出た玉城は、通りを挟んだ斜め向かいに手ごろなコーヒーショップを見つけ、立ち寄った。 テラスもあるし、見張るにはちょうどいい。 少し救われた。 ガレージもよく見えるし、車で絵の搬入に来る人物がいればチェックできる。 駆け寄って声を掛け、その反応を見極めることくらいは出来そうな気がした。 気の長い話だが、明日からは探偵ごっこ……、いや、バードウオッチングと行くか。 玉城は気乗りのしないまま、ひとつ深呼吸した。      ◇    
/51ページ

最初のコメントを投稿しよう!