第4話 探る

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ざっくりとした大きめの真っ白い半袖Tシャツとジーンズだけの姿で、彼は斜め向こうを向いて立っていた。 左手は下に垂らし、右手をゆるく前方に付き出している。 右手首には白いサポーター。 けれど、玉城をドキリとさせたのはその先にあるものだった。 リクの手に緩く握られているのは筆。 そして、その先にはイーゼルに立てかけられた一枚の絵があった。 アングルこそ違うがそれは彼が交差点で惹きつけられ、小宮老人が不安そうに見せてくれた、あの少女の絵だった。
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