秘密のサイン

２０２５年１１月７日当日、私が再度時間旅行社を訪ねると、結城さんがタイムトラベルする装置を用意してくれていた。

結城さんの説明では、腕時計の形をした装置を腕にはめて腕時計のボタンを押すだけらしい。

私が過去に戻りたい場所は、有明コロシアムである。

１０年前の今日は、テニスの試合が行われており、有明コロシアムの会場に入る入場券を持っていない私は、いちかばちか有明コロシアム内の女子トイレの中でタイムトラベルすることにした。

腕時計をはめて時間旅行社を出て有明コロシアムに行くと、今日は試合もないため、何もなしで会場に侵入することができた。

さっそく女子トイレに行き、１０年前のこの時間は試合中だから、女子トイレには人がいないだろうことを祈って、教えられたとおり腕時計のボタンを押した。

一瞬周りが暗くなったような感じがしたが、気が付くと同じ場所にいるようだが、閉めたはずのトイレのボックスの戸が開いていた。

まわりに人の気配はなく、そっと女子トイレを出て、試合会場に向かった。