始まり

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「…君?どうしたの?」 見惚れて無言になってしまった俺に、彼女が声をかけた。 ハッとなり、慌てて答える 「あ、え、あ、そ、そうです!」 我ながら情けないくらい挙動不審。 そんな俺を見ても彼女は優しく、ふふっと笑ってくれた 「視聴覚室なら、私も行くところなの。一緒に行きましょう?」 「あ、はい!ありがとうございます!」 ――――――― 「ここが視聴覚室よ」 ふわっと笑う彼女 「あ、ありがとうございます」 そしてちょうど、目の前の扉が開いて中からスーツの男性が顔を出した 「百合原、準備できてるか?」 「あ、はい。大丈夫です。遅れてすみません」 ペコリと頭を下げる彼女 「あぁ、間に合ってるから気にするな」 ハハッと笑いながら言う男性 ふと、俺の方に視線をむけて 「ん?誰だこいつ?」 「あ、え、えっと、その…」 少し緊張していた俺は、しどろもどろになってしまった。 「彼、説明会受けに来た子らしいんですけど、迷ってたので一緒に来たんです」 すると、彼女が俺の代わりに説明してくれた。 「す、すみません…遅刻しました……」 俺はぺこりと頭を下げる 「そうかそうか!広いからなーここ。大丈夫だ!後ろからこっそり入っとけ」 グッと親指を立てる男性 「あ、は、はい。ありがとうございます」 「あ。百合原、呼ばれてるわ」 扉の中から声が聞こえ、男性が彼女に言った 「あ、はい!…じゃあ、またね」 そう言って俺に微笑みかけて、中へと入っていく彼女 バタン、と前で扉がしまる 「………あ!俺も入らなきゃ!」 ハッとして俺も扉に向かった
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