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『…しづ..行くぞ…はーい!ごめんね。なーちゃん!また電話する。』 志津希の電話の奥から男の声が聞こえた。奈津希はマグカップにコーヒーの粉を入れる。 「一緒に住んでる人?今度会わせてよ。」 『うん。今からご飯連れてってくれるって…呼んでるから行かなきゃ。またね。』 じゃあねと電話を切って奈津希は携帯を閉じた。人当たりが良くてもどこか家族以外を心の底では受け入れられない志津希がルームシェアをしたいと言い出したときは本当に驚いた。葉津希と相談して志津希が人に心を開くのにこれはいい機会かもしれないと志津希のルームシェアを快く了解したのだ。祖母は志津希の手を優しく握って黙って頷いていた。これは祖母なりの頑張りなさいのことである。奈津希はマグカップにやかんのお湯を入れ春がいる居間に戻った。
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