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「ほんとに…龍樹なの?」
「そうだよ」
「いやあ、かなりでかいな」
「どこのことかわからないけど黙ってろエロ親父」
少し疑いの目は残るものの、信じるしか無いといった感じだ。
「まあ、とりあえず色々準備しないとね」
「俺は学校に行ってくる」
「じゃあ私は今晩のおかずの買い物にいってくるわ」
葵衣、龍樹の女の子としての名前を決めてあげてね。と言い残して、出掛けていった。準備に晩御飯は関係ないと思うし、父にいたっては仕事に行きやがった。信じてくれたのなら親としてせめて一緒に名前くらい考えてほしいものだ。
「うーん、名前ねえ…」
「ちゃんとしたのにしてよ」
姉のことだからどんなセンスの名前を考えつくのか、考えるだけで嫌だった。のだが…
「じゃあ、千夏(ちなつ)は?」
「へ!?」
あまりにもノーマルな名前で逆に驚いてしまった。
「うん、龍樹が生まれてくるときに、女の子だったら千夏って名前にしてたんだって」
「そうなんだ」
全く文句もないので、快く案を承諾した。それにしても姉はたまには一般人レベルの思考回路が保てることがわかったので、それだけでも報酬としよう。
「それよりさ、姉ちゃん」
「どしたの?龍樹」
「服着たい」
「全裸の龍樹が愛おしいからやだ」
「この変態」
こうして、加賀海龍樹改め、加賀海千夏の生活が波乱の幕開けとなった。
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