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唯の姉を真ん中にして3人で手を繋いで歩く。
大通りに出ると、車通りもいくらか激しくなる。
ガードレールのない歩道は広くはなく、3人で並ぶことはできないので、1列になって歩いた。
「あ、危ないよ~」
俺は歩道を走っていた。それは中学生になる期待か、それとも不安か。わからないがとにかく走りたかった。
ふと、前から1台の自転車が走ってくる。
走るのに夢中になっていた俺は反応が遅れ、急停止しようとしたせいで転んでしまった。
しかし、転んだ先は道路。
その後のことはよく覚えていない。
唯の姉が走ってくる。
僕を抱える。
体を震わす衝撃。
周りの人の悲鳴。
生ぬるい緋色の血液。
絶望。
恐怖。
恐怖。
恐怖。
「…き…み…だけ…でも…生…き…て………」
彼女は搬送先の病院で息を引き取った。
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