第1話.絶望サタデーモーニング

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全てを黒に包み込む夜は必ず終わりを向かえ、輝かしい朝日とともに新たな1日が始まる。ただし、まだ気温もかなり低い冬休みではそれはあまり嬉しく無いことでもある。 そういえば、冬休みも明日が最終日だ。宿題はすでに終わらせているし受験勉強もしっかりやっている。さすがに元旦はゆっくりしてしまったのだけれど。 「……んふぅ~…さむい…」 春眠暁を覚えずとはよく言うけれど、よっぽど冬の朝のお布団の方が出るのが辛い。それでも、志望校に入るために少しは朝も勉強しておきたい。かじかむ指にはぁ~と息を吹きかけ、お布団からでる。 洗面所は部屋の隣なのですぐにつくのが幸いだ。さっさと顔を洗って部屋の暖房をつけてぬくぬく勉強しよう。 がちゃり。 ドアノブを誰か金属から変えてくれ。熱伝導がよすぎて氷のようだ。電気をつけると天井のライトから朝の瞳孔には嬉しくないほどの光が溢れる。そして、蛇口の前へ。今の季節に水で洗うのは自殺行為だが、このくらいしなくては目が覚めない。 鏡にはいつもの朝で寝ぼけた自分の顔が………映っていない。その代わりに、目蓋を半分くらい閉じていかにも眠たそうにしている少女が映っている。その少女と目があった。 というか……
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