現代

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すぐに、返信を作った。 早くしないと、 向こうもメールを送れなくなるらしい。 『信じるし、信じている。  ただ確信が欲しい。  教えてくれ、  どうやってこのメールを送っている?  仕事は何をやってる?  偉くなっているか?  金持ちか?  奥さんはかわいい?キレイ?  毎日楽しい?  教えてくれ。  そうしたら確信できるし、  絶対に病院に連れて行く』 どうしてるんだろう、未来の俺は。 胸を躍らせ、送信をした。 少し間があいてから、メールが返って来た。 それを開こうとして、人差指をメールに向けた。 大きく胸がうねり、指が止まった。 本当に見ていいのだろうか? その思いが、メールを開くことを、ためらわせる。 それをしてしまえば、 未来を知ってしまえば、 この先は退屈になるんじゃないか? 長い旅路を、運命という道に沿って、 ぼんやり歩くことになるんじゃないか。 そう思った。 何も考えずに、 未来を聞いた自分の馬鹿さ加減に、 恨みと後悔が頭をよぎった。 知りたい。と同時に、知ったあとが怖い。 どっちとも決められない。 一向に進まない思考に、 俺はまた考えるのを。 「やーめた。」 きっと、うまい具合にどうにかなる。 そう唱えて、「えいや!」とメールを開いた。
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