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幼稚園や小学校は周りが優しかった。
小さい頃はすべてが変だった。
だから変なものを、常識の枠線の中に入れてくれた。
だが、中学に上がると、
周りは常識が備わって社会性を身につけてきた。
そんな中では、親友の行動を異質なものとして、
許容内から押し出してしまった。
そしてさらに環境は、異物を攻撃しようと、
機会を伺うようになっていた。
そんな事情もあって、
長く付き合いのある俺としては、
親友にもうすこし大人しくなって欲しかった。
もちろん親友が悪いわけじゃない。
そんなのは全部、環境が悪いに決まっている。
でも別の環境を選べるほど、
俺たちはまだ大人じゃない。
だから少しは、
この環境の方に寄り添う努力は必要だと、
わかって欲しかった。
それがあったから、
やんわり否定しながら、
親友の為に少し忠告をしようと考えていた。
けれど、そのベスト方法は思いつかなかった。
考えても、思考は同じ場所をぐるぐると回るだけで、
一向に進展しなかった。
煮詰まった俺は。
「やーめた。」
と言って、思考を放棄した。
考えてもわからないときは、考えない。
それでも多分、なんとかなる。
難しいことを考えたあとは、楽しいことを考えよう。
そう思って、
今日発売の中学生向けの科学雑誌を開いた。
静電気で電灯をつける実験や、
お餅の綺麗な焼き方、時間旅行の話、推理漫画。
面白そうな話題がたくさんあった。
こういった話は親友も大好きだから、
明日学校でこの雑誌をみながら、
親友と科学の話をするのが、
今から楽しみだった。
ページをめくっていると、
机の上に置いていた携帯電話が揺れた。
こんな時間になんだ?と見てみると、
メールが一件入っていた。
メールの差出人は、自分だ。
なんだなんだ?となりながら、中身を開く。
件名はなし。
画面を操作して、本文を確認する。
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