未来の俺との遭遇

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 IQでいえば、誰もが五百を越えている。  当然、あらゆる発明が成された。  高性能な宇宙船が開発され、太陽系であれば、すべての星に行くことが可能になった。  医学も進歩して、平均寿命は三百歳くらいになった。  過去とのメールによる通信も発明の一つだ。  わたしたちはメールなどという旧式のツールは使っていないが、きみたちとの通信手段としてはメールが一番便利なんだ。  そして、われわれ進化した人類の最大の発明は、現在と過去との行き来ができるようになったことだ。  つまり、昔風にいうと、タイムマシーンが開発されたということだよ。  ここらで、本題に入ろう。  わたしは今日の夜中の三時、きみに会いにいく。  いきなりな話ですまないと思ってる。  けれども、今日というか、明日になっているが、夜中の三時にきみと会うのがベストのタイミングなんだ。  どうしてそんなことが言えるのかだって?  それはもちろん、わたしが柳田次郎だからだ。きみ本人だからだ。  きみが今日、家にいて自分の部屋で寝ることはわかっている。  十二年前、わたしもそうしたからね。  夜中の三時に会おう。  きみは寝ていてもかまわないよ。部屋に着いたら、わたしが起こしてあげるから。  恥ずかしがる必要はない。わたしはきみ本人なんだからね。  それでは、後で会おう』
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