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「残り五分しかない」
未来の俺が焦った声で言った。
なぜ時間がわかるのだろうか。彼は時計らしきものを見てはいないようなのに。
おそらくそれも未来のテクノロジーなのだろう。それとも、超能力的なことかもしれない。先ほど、壁にあるスイッチを押した様子もないのに部屋の電気が突然点いた。やはり、なんらかの不思議な力を使ったのかもしれない。
「端的に言おう。妻と結婚しないでくれ。きみが結婚しなければ、未来のわたしも結婚しなかった人生に変更される。簡単な理屈だろ」
「なるほど」
ラッキー、と思った。そうだ、俺がそんな女と結婚しなければいいだけのことなのだ。
「わたしの妻の名前は、竹下美紀」
「えっ」
思わず声を上げた。
今日会ったばかりの女の子じゃないか。
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