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その後のことを話そう。
竹下美紀さんとは、あれから一度も会っていない。
毛利は何度も竹下さんと付き合うようにと俺にすすめてきたが、その都度きっぱりと断った。
これで、未来の俺とも結婚していないはずだ。
けれども、あれ以来、未来の俺からの連絡はない。
「お礼の返事一つくらいよこせよ」
俺は腹が立った。
あいつの望みどおりにしてやったというのに。
俺だったら、結果の一報は必ずいれる。それが礼儀だろう。
「ちょっと待てよ」
だとしたら、おかしい。変だ。
なぜなら、あいつは俺だからだ。我々二人は同じように考え、行動するはずだ。
しばらく考え続けて、もしかしたらと、ある結論に行き着いた。
もしかしたら、俺の未来は、事業で成功しなかった人生に変わってしまったのではないだろうか。
だから、大金持ちにはなっておらず、メールの送信の料金、二億六千万円が払えなくて返事をよこしてこないのかもしれない。
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