第二章

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「情けない話ですが、ラプラスに原因が分からなければ私達にはわかりません」 少し白髪が混じった今野と名乗る医師は眉を寄せそう言った。 あのメールの続きには死因が報告されたのだが原因は不明。 急いで病院に来たがこのありさまだ。 「ラプラスが誤作動を起こしたとかじゃないんですか」 平静を装ったつもりだったが、僕の声は震えていた。 「正直、前例がありませんし何とも……ラプラスが誤作動を起こしたというのも信じがたい話ですし」 「前例がないって……再検査!再検査します!」 藁にもすがる思いだった。こんなところで死ねない。まだやりたい事がある。見たいものも行きたいところも。それに有紀の事だって。 この後、僕はすぐにラプラスの検査を受けた。 無理を言って分析も急いでもらった。 そのおかげで翌日には検査結果が届いた。 でも検査結果は、残酷なほど一致していて、唯一変わったところといえば余命が1日減ったことだった。
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