壊れたオルゴール

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「はじめまして。私の名前は光ヶ丘 歩です。」 彼女は昔と変わらない目付きでそういった。 真っ直ぐ自分を信じている目だ。 僕は彼女のその目が大好きだ。 「久しぶり。そして改めまして、合間に変わりました。合間 夕です。」 隣の席に座った、懐かしい友人に言った。 それを聞いた彼女は少し不思議そうな顔をして、こう言った。 歩「あら、お似合いの夫婦だったのに。残念だわ。」 変わらないな、と思った。 これは数時間前の会話だ。 今僕達は調査部にいる。 発足してから30分の出来立てホヤホヤのカビ臭い部室だ。 歩「最初の一歩は大きい方が良いわ。それにしましょう。」 僕の『壊れたオルゴール』を聞いて。彼女は大きく興味を示してくれた。 夕「転校初日でタブーに触れようとする気分はどうだい?」 意味のない質問をしてみる。 歩「禁忌ほど私を昂ぶらせるものは無いわ。」 知っていた。やっぱり意味なんて無かったかな。 歩「でもそれなりの準備がしたいわね。私は音の発信源を、夕は荷物の準備をお願い。」 そう言うと彼女は部室を後にした。 懐かしい。楽しい。 やっぱり僕は彼女が好きだ。 僕も部室を後にする。 ホームセンターで荷物を整えるためだ。 勿論下校時刻間近なので、部室の鍵は掛けておく。 歩?彼女なら先回りして僕の家に来るはずさ。 軍手、釘、ガムテープ、バール、方位磁針、後は家に有るから良いか。 荷物を積んだ自転車を、自宅の車庫に停める。 予想通りに、歩は先に来ていたみたいだ。 ピンクの可愛い自転車が停めてある。
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