架空請求

2/2
前へ
/2ページ
次へ
 ああ、勉強したくねーなあ。今は春休み。そして俺は受験生。勉強しとかねーとなあ。でも、勉強したくねーなあ。  今日も寝坊した俺は、休みをだらだらと過ごしていた。そういや今日って四月一日だな。ダチに送る嘘メールでも考えるか。  ケータイを手にとるとショートメールの着信があった。めずらしい。なんだろ?  画面を開くと、 『あなたが視聴した有料動画サイトの確認ができませんでした。本日中に連絡がなければ法的手段に訴えます。』  だと。おー、これは詐欺メールとしてテンプレな文面。わかりやすいほどの架空請求ってやつだ。  こんなんにひっかかるかよ、っていうか、俺のガラケーじゃ動画サイトなんて見れないっつうの。せせら笑いつつも、続きを読んでやる。しかし、次の瞬間、驚愕した。  このメール、連絡先が俺の電話番号になっている。  なんで?   もう一度メールを読む。  すると、おかしなことに気づいた。送信日付が、一年後の今日になっているのだ。未来の自分からメールが来たってか?  いやいやいやいや。まさか。  仮にそうだとしても意味がわからない。  なにやってんの? 未来の俺。あー、もしかして。きっと、あれだ。 シャレにならん内容だけど、未来の俺も誰かにエイプリルフールのメール送ってたんだよ、きっと! 何かの拍子に時空をとびこえて俺のところに届いちゃった……とか?  そうだ。そういうことにしておこう。  俺はそのメールを削除した。  そして将来の自分にそこはかとない不安と焦りを覚え、 「まじめに勉強しよ」  机に向かった。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加