第1章

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「くしゅん!」  ぴゅうっと北風が吹いて、くしゃみが出た。  ぼくはお母さんに頼まれて、おばあちゃんちに大根をもらいにでかけることになった。歩いていくと結構時間がかかるから、いつもはお父さんかお母さんの車ででかけるんだ。  だけど、もう5歳なんだから一人でも大丈夫よ、ってお母さんが言うから、ぼくも勇気を出しておつかいに行くことに決めたんだ。  だけど……。 「おばあちゃんの家ってこんなに遠かったっけ?」  車だとあっという間に着くのに。  それに、やっぱり一人ぽっちで歩くのは寂しい。 「こんなことならおつかいなんてやめればよかった……」  だけど、ここまで来て戻るのも嫌だ。もう少し頑張ろう。  そうして歩いて体がぽかぽかと温まってきたころ、ぼくはその声を聞いた。 「よく来たね」  その家の前におばあちゃんが立っていた。ぼくはその優しい声を聞いてすごくほっとしたのだった。
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