第1章

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 これは50年後の私からのメールだ。貴方は今確か60歳だから、この話しを書く私は、当然、死者であり、死後の話し書くことになる。だから、それは今生きている貴方にとって、極めて貴重な情報である。良く読んでくれ!そして、それを参考に、より良い余生を生きてくれ!  まず、「生きる」と言うことの定義をハッキリさせる。その要素は2点である。判りづらい言い方だが、「自我(自分である意識)」と「時間がゆっくり進む(普通のはやさで進む)」と言うことである。「死」の大きな特徴は、「時間が急速に進むこと(異常なはやさで進む)」である。このメールの書き出しは、50年後だったが、すでに今の私は、200年後にいる。つまり、「死」とは、時間が急速に進むことなのだ。この急速な時間の進みが、「自我」の宿れる生命体を探せる無限に低いチャンスを押し上げ、「生まれ、生きる」チャンスができる。「生まれ、生きる」とは、その低い確率に勝つ幸運に恵まれることだ。今メールを書いている間に、すでに500年後になっている。確かに異常な時間の流れだ。つまり、その間に私に合致する「自我」が存在しなかった不運を意味する。「おお、地球上では大陸が移動している!」すでに1000年後になっている。大陸移動予測では、1億年ぐらい後に、北極付近にほとんどの大陸が集合すと言う。その前に、もう一度「生まれ、生きる」チャンスが訪れることを期待したい。そして、あの嫌気がさすような平凡な、ゆっくりした時間の中で生きてみたい。無理かもしれないが‥‥。「50年前の貴方に告ぐ。君は、その貴重な平凡な、ゆっくり流れる時間を存分に楽しんで欲しい。でも、幸せの中で幸せは気づかないかなぁ」
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